社会的共通資本とは?

What is Social Common Capital?

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宇沢弘文は社会的共通資本(Social Common Capital)をどう表現したか?

宇沢弘文は、社会的共通資本を下記のように表現しました。

・ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境や社会的装置。

・社会全体とっての共通の財産であり、それぞれの社会的共通資本にかかわる職業的専門化集団により、専門的知見と職業的倫理観にもとづき管理、運営される。

・一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立を保ち、市民的自由を最大限に確保できるような社会を志向し、真の意味におけるリベラリズムの理念を具現化する。

当部門は社会的共通資本をどう解釈しているか

京都大学 Beyond 2050社会的共通資本研究部門では、このSCCという概念を、より現代に即した形で拡張し、人と環境の「ゆたかさ」を実現する様々な資本のネットワークとして捉えています。

様々な資本の中には、宇沢弘文が指摘した

・自然資本
・社会インフラ
・制度資本

のほか、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)やデジタルコモンズ等も含まれると考えられます。

宇沢弘文の長女、占部まり氏(当部門発起人、現・連携研究員)は、社会的共通資本を香川県香川郡直島町で見られるアート「無限門」に例えて表現します。

この門を通じて眺めることで、あたりまえに存在していたもの・ことが、私たちの享受するゆたかさを実現してくれているかけがえのない存在であると実感できる。

社会的共通資本という概念は、そのような考え方なのです。

社会的共通資本は市場経済をより安定的に、公正に運営する上でも重要な役割を果たします。

しかし当部門はそれ以上に、人々や環境にとっての「ゆたかさ」のために、

・社会的共通資本をいかに守り育てるか
・時代の要請に応じた新たな社会的共通資本をいかに生成するか

を追究しています。