
Beyond 2050社会的共通資本研究部門(以下、当部門という)では、社会的共通資本(Social Common Capital: SCC)という概念を基礎に、多様な形態の資本の価値を再評価していく必要があると考え、社会全体のwell-being(幸福や健康)を向上させるような本質的な価値を持つ活動を推進しています。
公園が見える自宅のリビング、四季折々の花が咲く街路樹、散歩道に漂うコーヒーの香り・・・etc。不動産取引に直接影響しないものごとが、そこで暮らす人々の心身の健康に貢献していると、近年の疫学調査で次々とわかってきています。今回は、社会の病気の治療法(社会問題の解決手法)の実践的研究者である独立行政法人経済産業研究所の佐分利応貴氏をゲストにお迎えし、当部門の近藤克則特任教授との対談を通じて、単なる経済指標とは異なる、多様で新たな「モノサシ」について、みなさまとともに考えてみました。
ご参加ありがとうございました。
日時:2025年8月28日(木)18:30-19:50 ※18:15 受付・開場
会場:京都大学東京オフィス会議室A・B(新丸ビル10階)
定員:60名 参加:40名
82名からお申込みがあり、抽選の結果60名をご招待。キャンセル連絡を頂いた方を含め20名がご欠席。
講師:当部門 近藤克則特任教授、渡邉文隆特定准教授
独立行政法人経済産業研究所 コンサルティングフェロー 佐分利応貴氏
主催:京都大学 成長戦略本部・Beyond 2050社会的共通資本研究部門
協力:独立行政法人経済産業研究所
内容
◆話題提供1「自然・建造環境とウェルビーイング」 近藤 克則
社会の健康データを集めて疫学的に分析に基づき、住むだけで健康になるUR(都市機構)、周辺住民が健康になった道の駅のデザインなど、エビデンスに基づく健康なまちについてさまざまな研究結果が紹介されました。
◆話題提供2「まちづくりにおける“経済合理性”の再考~固有価値と豊かな人間関係を測る京大モノサシとは」 佐分利 応貴
モノサシには人々の行動を制御できる力があります。まちづくりのモノサシが目指す究極のかたちは、MaaSならぬLaaS(Living as a Service)。幸福観やライフステージに合わせて住居を変えられるようになるでしょう。
◆グループディスカッション「これからのまちづくりの課題とモノサシ」
散歩が習慣化して健康になり、犬を介して顔見知りが増え、病気や孤独の心配が無用な「犬が歩きやすいまち」など、わくわくするモノサシが発表されました。
◆対談「しあわせな暮らしとまち」 近藤 克則 × 佐分利 応貴
住んでいるだけで健康になるまち、いわば病気のゼロ次予防に取り組むなかで日本の大学が果たす役割は大きいといえます。なぜなら世界一健康で長生きしているのが日本だからです。この社会で暮らしているだけで長生きできるのはなぜか、とりわけジェンダーギャップ指数148か国中118位 (2025.6.12発表)の日本女性が世界一長生きとはどういうことか明らかにしたいところです。ぜひ当研究部門へのご支援ご協力をお願いします。
講師より

佐分利 応貴(さぶり まさたか)
戦争や貧困、少子化といった社会の問題が解決できないのは、複雑系である社会というシステムを制御する方法論が未熟であり、その専門家もいないからです。社会問題を制御するためには、複雑系である人体を制御してきた医学や、システムを制御するシステム工学など、社会システムの制御を学ぶためのカリキュラムが必要であり、公務員のための社会問題解決学部(社会医学部)が必要です。今回のセミナーでは、そうした「社会問題の制御」の専門家として、21世紀のまちづくりの新たなフレームワークとその目指すべき姿について解説します。 →プロフィール
近藤 克則(こんどう かつのり)
緑が多い地域に暮らす人たちで、歩行量が多く、うつが少なく、死亡率まで低いことが、世界中の追跡縦断研究で報告されています。自然環境だけでなく、商業施設や公共交通機関、公園など、人間が造り出す建造環境も、近隣に暮らす人たちの健康に影響を及ぼします。緑や公園、商店街などが計画的に配置されているURなど公的賃貸住宅に暮らす高齢者は、民間賃貸住宅に比べ、死亡率まで低いという結果も得られています。このような疫学的な知見を元に、自然環境やインフラなど社会的共通資本(SCC)とウェルビーイングを考えます。 →プロフィール

/問合せ 京都大学成長戦略本部(Beyond 2050受付) beyond2050_reps@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
