2025年2月28日に京都アカデミアフォーラム(東京都千代田区)にて、人と社会の未来研究院と共催で、「京都大学と描くBeyond 2050の社会:「未来志向の学際研究」への招待 ~死と葬送、寄付とAIエージェントを考える~」を開催しました。
誰にとっても最早他人事ではないトピックということで、直前の告知にも関わらず、すぐに満席となりました。
第一部はBeyond 2050構想室から石原慶一特任教授が『死と葬送』について、第二部は人と社会の未来研究院から社会的共通資本と未来寄附研究部門の渡邉文隆研究員が『寄付とAIエージェント』について、それぞれ発表しました。
これらは、今後の広がりが非常に豊かな未来志向の学際研究となりますので、ご寄付は勿論、Peatixまたは当HPニュースをフォローいただきますよう、よろしくお願いいたします。
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第一部 2050年以降の『死と葬送』を考える
人口減少が進み、孤独死の増加や家族・地域とのつながりの希薄化が深刻化するなか、自己の死(一人称)・他者の死(二人称)・社会的な死(三人称)の3つの視点から日本における葬送を考察します。現行の葬送は、江戸時代の「寺檀制度」に由来し、家族単位の葬儀・墓管理が前提でしたが、個人主義の進展により、今後、個人戸籍の導入やデジタル技術を活用した、新たな弔いの形(仲間葬、エンディングノートのクラウド管理など)が求められるでしょう。また、火葬炉のCO2排出削減や、自然葬の汚染リスクなど葬送方法の環境負荷軽減も検討すべき課題でしょう。
第二部 2050年以降の『寄付とAIエージェント』を考える
機械による自動発注やロボアドバイザーなど、AIが経済活動に関与する場面が昨今増えています。しかし、寄付市場は心理的要素が強く、数値化が難しいことから、従来の経済合理性が通用しないとされる領域です。2050年以降の社会におけるAIエージェントの役割、特に寄付市場における可能性について考察しました。AIが寄付行為をどのように変革しうるか、AIによる寄付者と寄付先のマッチングを実験し、AIが人間のファンドレイザーと同程度の精度を持つことが確認できました。一方で、寄付者が「間接費を嫌う心理」をAIも人間のファンドレイザーも正確に認識できていないことも明らかになりました。将来的には、人間の心理的要素を学習し個々の好みに合わせてパーソナライズ化されたAIエージェントが自動的に寄付を行い、さらにAIエージェント同士が高速に接触し、取引コストを削減して効率化するなど、寄付の形態を大きく変える可能性があるでしょう。
参加者より
・なかなか普段考えない研究をお聞きできて、とても面白かった。
・死と生の本質というか必然であると思うので、もう少し「死を前提とした生」を全うするスタイルが一般化するとよいのでもと感じています(その点、病者や老者アーティストなどは一歩先んじた存在なのではと思っています)。死に蓋をしない生き方をユニバーサルに!!!
・寄付文化がまだまだ育っていない日本では、どこまで広がって行くのか、よく分かりません。しかし、インターネット・デジタルがどこでどのように活用できるのか、楽しみです。
・未来からの視点での今の「死」と「寄付」の話題を考えるに良い機会。ありがとうございます。